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ダークファンタジーとは、悲劇的な展開や残酷な描写に重きが置かれ、登場人物たちに試練や困難な状況が訪れるファンタジーのジャンルのうちのひとつ。魔法、悪魔、妖精、吸血鬼など、ファンタジー作品に欠かせない要素が描かれます。
ダークファンタジーは緻密なストーリーと重厚な世界観を楽しむことができます。その世界には、悪魔の力を手に入れたヒーロー、苦境を乗り越えんとする少年少女などが登場し、苛烈を極め、暗く沈んだ世界観の中で、読者に生と死を考えさせ、善と悪を問いかけます。時にはどっぷりダークファンタジーの世界にハマって、そうしたテーマに向き合ってみるのもいいかもしれません。
動物でも植物でもない、生命の原生体 “蟲”。奇妙な現象を招き、ヒトに影響を及ぼす妖しき存在――。
墨でものの形を象ると既存の生物でなくても生命を持つという不思議な力を宿す五百蔵しんらのもとに、ある日、蟲師・ギンコが現れる。ギンコは調査を申し入れるが、祖母の遺言でその能力を広めることができないと言い、断られるが――。
蟲師の主人公・ギンコが、蟲たちによって引き起こされる不可思議な現象に対峙していく伝奇ダークファンタジー。モノとヒトとをつなぐギンコの果てなき旅路を描いていきます。和テイストのノスタルジックで幻想的な雰囲気に一気に引き込まれ、物語の世界観にどっぷり浸れる作品です。
2003年「文化庁メディア芸術祭」漫画部門優秀賞受賞、2006年「第30回講談社漫画賞」一般部門を受賞しました。テレビアニメ化、実写映画化、ゲーム化もされている人気作品。
口の中に“もうひとりの人間”を住まわせた異形の男・カイマン。「魔法使いの世界」から来た魔法使いたちに頭を爬虫類の姿に変えられ、そのときに記憶を失った。本来の自分の姿に戻るために、カイマンは友人のニカイドウとともに、もうひとつの世界である「ホール」にやって来る魔法使いを狩っていく。
口の中のもうひとりの人間は誰なのか、カイマンは何者なのか――。「それはまだ……混沌の中。それが……ドロヘドロ！」
2000年から2018年まで18年にわたって連載された大作ダークファンタジー。登場するすべてのキャラクターが個性的で魅力的。主要キャラクターのほとんどは覆面マスクを被り、おちゃめでユニークな性格で、殺伐とした暗い世界を彩り、物語をいっそう豊かなものにしています。
スプラッタな表現も多くシビアな展開も多々ありますが、緻密に練られたファンタジーの世界観にわくわくと高揚感高まる作品です。
小さな孤児院・グレイス＝フィールドハウスに暮らすエマ、ノーマン、レイ。院のシスターで「ママ」と呼ばれるイザベラのもとで、血縁関係のない兄弟姉妹たちと一緒にささやかながらも平穏な毎日を送っていた。
白ずくめの制服、首筋に刻まれた認識番号、そして学校に行く代わりに毎日受けるテスト……。施設で暮らし始めて10年、疑うことのなかった日常 。しかしその日常は、ある出来事を機に突然終わりを告げる。果たして子どもたちの運命は――。
孤児院で育った子どもたちが、自分たちの持つ高い能力を駆使して逆境を切り抜け、運命に抗うダークファンタジー・サスペンス。駆け引きや心理戦、推理を楽しめます。過酷な状況に置かれながらも決してあきらめない子どもたちの姿は、健気で心を打ちます。
全世界での累計発行部数は3200万部を突破（2021年6月時点）。テレビアニメ化、小説化、映画化もされている話題作です。
秘境の大穴「アビス」。その深く巨大な縦穴には、奇妙な生物たちが生息し、現代の技術では作りえない貴重な遺物が眠っていた。アビスの姿は人々の冒険心を駆り立てた。そうしていつしか大穴に挑戦する冒険者たちは「探窟家」と呼ばれるようになる。
孤児のリコはアビスの緑に築かれた街・オースで暮らしていた。母のような探窟家となり、アビスの謎を解き明かしたいと夢見ている。そんなある日、リコは探窟中に少年の姿をしたロボットを拾って――。
幻想と機械が入り混じるダークファンタジー・アドベンチャー。ふんわりした優しい筆致の児童書のような絵柄ですが、それに見合わぬグロテスクなシーンも多く、暗く重たいストーリーが展開されます。
衝撃的で独特の世界観にファンが多く、本作は累計発行部数333万部を超える大ヒット作（2020年2月時点）。アニメ化作品も大人気の冒険活劇です。
人間の負の感情から生まれる禍々しい呪い力は、人を死へと導く――。高い身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、病に伏せる祖父を見舞うために毎日病院へ通っていた。しかしある日、「オマエは強いから人を助けろ」――そう言葉を残し、祖父は他界する。
そしてその夜、虎杖の通う学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、人を襲う化物である「呪霊」が現れる。虎杖は学校に取り残された先輩を救うために校舎へ乗り込むが、苦境に追い込まれてしまい――！？
アニメ化で大ブレイクを果たした『呪術廻戦』。日本のみならず世界各地で話題を席巻するダークファンタジー。呪いをめぐる世界へと身を投じることとなった主人公・虎杖と仲間たちの戦いと成長の日々を描く呪術バトル漫画です。
登場キャラクターたちそれぞれの個性が生かされた呪術バトルは圧巻。バトルシーンはスピード感があり、物語の展開もテンポよく楽しめます。
大剣や大砲などさまざまな武器を仕込み、ひとり「ゴッド・ハンド」を探す旅を続ける剣士・ガッツ。ひょんなことから旅をともにすることになった妖精・パックと、各地で人々を恐怖に陥れる使徒を追い、戦いを繰り広げる。狂戦士・ガッツ。彼の行くところには血の雨が降る――。
世界中で愛されるもっとも有名なダークファンタジー超大作のひとつ「ベルセルク」。身の丈を超える大剣を携えた剣士・ガッツの復讐の旅が描かれます。壮大な世界観と圧倒的な画力、ガッツやキャスカ、グリフィスなど個性豊かで魅力的なキャラクターたち――。
幅広い年代層から支持される本作の著者・三浦建太郎さんは2021年、世界中のファンに惜しまれながらその生涯に幕を閉じましたが、その偉業と功績は末永く後世に語り継がれていくことでしょう。2002年「第6回手塚治虫文化賞」マンガ優秀賞を受賞。
全世界での累計発行部数は5000万部を突破しています（2021年5月時点）。不朽の名作をぜひその目に。
時は江戸時代末期の頃。かつて最強の忍としておそれられた画眉丸は抜け忍として囚われの身となっていた。しかし、生まれたときから殺人術しか教わらず、超人的な肉体を得たために、打ち首の刀は画眉丸に当たるやいなや折れ、火刑の炎は画眉丸を燃やせず、奉行所は画眉丸の処刑を完遂できずにいた。
そんなある日、打ち首執行人の山田浅ェ門佐切から無罪放免の公儀御免状を渡すといわれる。しかしそれには条件があった。それは極楽浄土と噂される地で不老不死の仙薬を手に入れるというもので――！？
死罪人・画眉丸が幕府発給の免罪符を得るために、不老不死の仙薬を探す旅に出る忍法浪漫・ダークファンタジー。試練に耐え、過酷な状況を切り抜け、己を信じて突き進む最強の忍・画眉丸の姿を描きます。
特筆すべきは勢いのある筆致で描かれる美麗なキャラクターとアクションシーン！物語の展開に広がりをもたせ、またスピード感を与えています。
冒険者になったばかりの15歳の女神官は、冒険者ギルドで出会ったとあるパーティーに誘われ、ゴブリン胎児に赴く。しかしこのとき女神官は初めての冒険で、弱小といわれるモンスター・ゴブリンの思わぬ強さを知ることになる。
仲間がやられ、窮地に陥る女神官。自らの命をあきらめかけたとき、粗末な鎧をまとった男に救われる。その男は、無慈悲なまでにゴブリンを狩り続ける冒険者「ゴブリンスレイヤー」だった。
下級モンスター・ゴブリン狩りに取り憑かれた男の活躍と、その男を取り巻く少女たちの成長を描くダークファンタジー。世界を救うという大義を掲げるヒーローではなく、身近にある危機を救うヒーローを描いた特徴あるストーリーが魅力。
同名小説をコミカライズした作品で、原作はシリーズ累計発行部数900万部を突破（2022年3月時点）。テレビアニメ化もされている大人気作品です。
「悪魔」が日常に蔓延る世界。死んだ父が残した借金を返すために、チェンソーの悪魔であるポチタとともに、デビルハンターとして借金取りにこき使われる超貧乏な少年・デンジ。働けどはたらけどなお借金は減らず、普通の暮らしをしたいというデンジの願いはいっこうにかなわない。
そんなある日、デンジは仕事の斡旋をしていたヤクザに裏切られ、ポチタとともに悪魔に殺害されてしまう。デンジの流す血を飲みよみがえったポチタは、自分の心臓をデンジに渡す。デンジは復活し、チェンソーの悪魔に変身する力を手に入れて――！！
悪魔を宿す少年デンジの命をかけた戦いを描く、新時代ダークバトルファンタジー。スプラッタ要素は強いですが、コミカルなシーンも時々あり、読みやすくダークな世界観を楽しめます。
累計部数は1300万部を突破（2022年7月時点）。アニメ化もされる大ヒットヒーローアクション漫画です。
吸血鬼による残虐な事件が横行する英国で、反キリストのバケモノを狩る機関「王立国教騎士団」、通称「ヘルシング機関」が結成される。吸血鬼討伐のエキスパート・アーカードはヘルシング機関の一員であるが、自身もまた吸血鬼であり、不死身の肉体を持っている。
アーカードはとある仕事の最中、警察官のセラス・ヴィクトリアを事件に巻き込み、吸血鬼の体にしてしまう。そんな彼女も団長・インテグラルが指揮する機関に加わり、今日もまた吸血鬼事件の鎮圧へと向かう――。
1998年〜2009年にわたって長期連載されたダークファンタジー。ヘルシング機関に所属するアーカード、インテグラ、セラスの3人の活躍を中心に、吸血鬼との戦いを描くバトルアクションです。
インパクトある絵とコマ割り、クセの強いセリフ回し、そして特徴的なポーズと平野節に魅了される作品。銃を構えるポーズがかっこいい！
法もなく秩序もない、ただ血と鋼鉄と肉と骨がある、魔力が世界を支配する時代――。大神官の娘であるティア・ノート・ヨーコとともに兄弟のように育てられた少年ルーシェ・レンレンには、かつて世界支配をもくろんだ古の大魔法使いダーク・シュナイダーが封印されていた。15年の時を経て、邪悪な魔法使いが遂に復活し――！？
近代文明の崩壊から数百年後、魔法と剣が支配する世界を舞台に描かれるダークファンタジー。ダーク・シュナイダーが封印されている少年ルーシェと幼なじみのヨーコが、彼らの住むメタ＝リカーナ王国を救うために、闇の反逆軍団と戦く姿を描きます。
異彩を放つ主人公・ダーク・シュナイダーのキャラクター性も魅力的。セクシーなシーンもあります。累計発行部数は3000万部を突破（2020年9月時点）。連載開始から30年以上の時を経て、2022年にアニメ化されたことでも話題を集める作品です。
18世紀。婚姻のためにオーストリアからフランスへと向かうマリー・アントワネット一行。しかし一行は道中、突然「死人のようなモノ」の群れに襲われてしまう。
この襲撃をかいくぐり生き残ったのは、マリーの身に危険が及んだときの替え玉として密かに同行していたマリーの双子の弟・アルベールだけだった。アルベールは姉の死を前に大きな決断をする。姉に成り代わり、王室入りすることになって――。
姉に成り代わった弟のアルベールが不死者との戦いに挑むダークファンタジー。妖艶な絵柄が特徴的な作品で、きらびやかな王室の世界と不死者漂う陰湿な世界をうまく融合させてひとつの世界観を作り上げています。
ジャンヌ・ダルクやナポレオンが登場するなど、革命の歴史をダークファンタジーの世界で描く、ヒストリカルアクション漫画としても楽しめる作品です。
『氷の魔女』によって世界は雪と飢餓と狂気に覆われ、凍えた民は炎を求めた――。妹は斧を振り下ろし、兄の腕を切り落とす。再生能力の祝福を持つアグニとルナの兄妹は、切り落とした腕を食料として飢えに苦しむ村の人々に配り歩く。
いつか外が暖かくなったら一緒に世界を見て回ろうと誓い合う兄妹。そんなある日、ふたりの住む村にベヘムドルグ王国のドマ率いる軍隊が飛行機で降り立つ。ドマはとある祝福の持ち主で――。
身寄りのない兄妹を襲う悲劇と過酷な運命、そして復讐の物語。残酷描写やグロテスクな表現も多い作品です。息の詰まるようなシーンの中に、コメディタッチで描かれる場面もあります。
また、不思議な展開、予想を超えた展開をみせることもあり、とらえどころのない印象を受ける作品です。しかしそのざわつくような感じがクセになって、本作の世界観に心地よく取り込まれてしまいます。暗くなりすぎずに読める次世代ダークファンタジー！
残虐なシーンや恐ろしい展開、幻想的で不可思議な世界観など、目を逸らしたいのについ夢中で読んでしまうことも多いダークファンタジー漫画。絶望的で過酷なシーンだけが続く重苦しい作品もありますが、なかにはコミカルなシーンを織り交ぜながらファンタジーの世界を楽しめる作品もあります。さまざまな作品に触れて、奥深いダークファンタジーの世界を堪能してください。
