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魔法が存在していたり、神様や吸血鬼、獣人や幻獣が登場したりするファンタジー漫画は、緻密に作り上げられたその世界観から、読む人をあっという間に別世界へとトリップさせてくれます。ここではSF、怪奇、ヒューマンドラマ、冒険譚、擬人化、バトルもの、転生もの、料理もの、日常系、少女漫画系などなど、さまざまなスタイルの人気ファンタジー漫画をピックアップ。名作から話題の新作までどっぷり浸れる作品をご紹介します。
遺伝子組み換えが盛んに行われ、新たな品種が生み出される時代。チキンキャベツ、マトンカリフラワー、カボチャトロといった動物や魚の遺伝子を組み込んだ野菜を育てる農夫・トメオ。ある日、トメオの畑に人間の女の姿をした雑草が生えてきて――。
遺伝子が混在したバイオ戦争以降の混沌とした世界を描くSF怪奇ファンタジー。著者は、伝奇冒険活劇『西遊妖猿伝』、伝奇伝承ホラー『妖怪ハンター』、ホラーコメディ『栞と紙魚子』などの代表作で知られるSF、伝奇漫画の巨匠・諸星大二郎氏。漫画ファンだけでなく、有名漫画家やクリエイターなどからも絶大な支持を得る漫画界のレジェンド。
2000年「第4回手塚治虫文化賞」マンガ大賞、2008年「第12回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞、2014年「第64回芸術選奨」文部科学大臣賞など名だたる賞を受賞 し、2020年にはデビュー50周年を迎えました。
世界のすべての物質は絶えずゆらゆらとごく細かにゆれていて、時にバランスを崩して形を変えることがある。それを浮動化、または“フロー”と呼ぶ――。フロー処理業者のヒロタは三叉路が七叉路に増殖した現場に到着する。人の思念がフローと共振して起こった“人起因”型とにらみ、原因となった人物を探していき――。
ファンタジーの名手である『蟲師』、『水域』の漆原友紀氏が描くちょっぴり奇妙なお仕事活劇。本作も風変りで不思議な世界観にどっぷりハマれます。どこかテキトーでユルい青年・ヒロタと見た目が若いアルバイトのちま、そして“しゃちょう”の猫が、自然の摂理が時々バグって起こる“フロー”と呼ばれる現象を処理していきます。
物体の角が全部丸くなっていたり、鏡の中に鏡反転の世界があったりするなど、さまざまな不思議な光景が登場。それぞれの現場の背景にあるドラマを描きます。コミカルなシーンも多く、猫社長とちまに癒されながら楽しめます。
水森月奈、33歳。読書をしていて寝落ちをすると、目の前に「神」と名乗る球体が現れ、夢や願いをいくつでもかなえることを条件に、異世界転移をして大魔法を扱う救世主になってほしいと言われる。
初めは渋っていた月奈だが、森の中に喫茶店がほしいという願いをはじめ、神が面倒がるほどに数多くの願いを伝えて、いざ異世界生活をスタートさせる。そうして開いたブックカフェに初めて訪れた客は、モデルのようなスタイルの騎士で――！？
趣味は読書と料理。仕事も人間関係もそつなくこなせる。そんなハイスペックアラサー女子が主人公の異世界ラブファンタジー。異世界でブックカフェを開き、初めは引きこもって趣味に没頭しますが、異世界の人々と交流を重ねるうち、次第に救世主としての役割にも目覚めていきます。
のんびりと緩やかな時が流れる異世界もの。ヒーローの騎士も穏やかで心地よい空気感をまとったイケメンで癒されます。
ファミレスのキッチンでアルバイトをする菅波多緒は、先輩から一週間で100万円稼げる住み込みのアルバイトを紹介される。それは田舎にある旧家の日本家屋の掃除をし、奥座敷に祀られている神様へのお供え物作るという仕事だった。
貯金が趣味の多緒は高額なバイト料に釣られて面接に応募し、無事採用となり、古い屋敷に向かう。するとそこには不思議な少女がいて――。
少女の姿をした神様と料理が得意な青年の日常を描くグルメ×和風ファンタジー。願いをかなえるといってくれた神様に何も答えられなかった青年が、田舎での暮らしや神様たちとの交流をとおし、やりたいことを見つけていく成長物語でもあります。
本作に登場する料理は別段珍しいわけではない、普段の料理ですが、どれもとっても美味しそう。毎食嬉しそうに食べる神様の表情もとても可愛らしく、ほのぼのします。季節の行事や料理を楽しむ話もあり、伝統的な習わしに触れてノスタルジックな思いに駆られます。
仲間外れにされ、学校に居場所を失くして不登校になった中学1年生の安西こころ。スクールと呼ばれる子ども育成支援センターに通うこともできず、部屋に引きこもり心を閉ざしていた。
そんなある日、こころの部屋の鏡が突然光り始め、こころはその鏡を通り抜けてしまう。鏡の向こうには、案内人の“オオカミさま”がいて、不思議な城があった。その城で6人の中学生と出会い、ともに冒険をすることになり――。
辻村深月氏の傑作ファンタジー小説のコミカライズです。原作は累計発行部数100万部を突破（2021年3月時点）、2018年の「本屋大賞」をはじめさまざまな賞を受賞する大人気作品。アニメ映画化もされています。
城に集められた中学生たちはみな、似た境遇を持っています。子どもたちの表情は丁寧に描かれ、それぞれが抱える問題と向き合い、乗り越えようとする姿に心を打たれます。涙なくしては読めない感動ファンタジーです。
“死なない”新しい生物・亜人が初めて確認されたのは17年前のアフリカ。その発見に世界はパニックに陥ったが、人類に対して害を及ぼす事例が確認されていなかったことから次第に落ち着きを取り戻していった。
高校生の永井圭はある日、交通事故に遭って死ぬが、直後に大勢の人の前で体が再生され、生き返る。国内で3例目となる亜人の発見に世間は騒然とし、圭を取り巻く状況は一変した。追われる身となった圭は唯一の友人であるカイに助けを求めて――。
テレビアニメ化、実写映画化など、さまざまなメディアに展開された傑作ダークファンタジー。シリーズ累計発行部数は900万部を突破（2019年11月時点）する大ヒットコミックスです。
亜人対人間、亜人対亜人など、未知なる生物・亜人をめぐる闘いとドラマが描かれ、人間の本質に迫ります。再生を繰り返しながら行われる戦闘シーンは見応え抜群。亜人に対する残酷な研究などグロテスクなシーンが多くあります。
富士山が噴火して4カ月。その火山灰は灰を浴びたごく一部の人間を“ヴァンパイア”に変える不思議な力を持っていた。心優しい高校生の佐神善はある日、ヴァンパイアに襲われ瀕死の状態となる。
しかし自身がヴァンパイアへと覚醒し、そこでヴァンパイアの美少女・ドミノと出会う。自分を襲ったヴァンパイアを追おうとするが、闘う意志も力もない奴が中途半端に関わろうとするなと忠告を受けて――！？
火山灰を被り、驚異的な力を持つ闘争型ヴァンパイアとなった者たちの戦いを描くダークホラー・バトルファンタジーです。すべてを可能にする強大な力を持つヴァンパイアの王が支配者となる世界。
その王の後継者になるべく、一番強いヴァンパイアを決めるための戦いが行われます。戦闘は変身体で行われ、ヒロインの美少女ヴァンパイア・ドミノの戦闘シーンはちょっぴりセクシーです。
クラスメイトにいじめられ、トイレに逃げ込んだ女子中学生・睦実の前に、ひとりの男が現れる――。黒いジャージ姿にスカーフを巻いた住所不定無職の自称デリバリーゴッド・夜ト。
ガサツで気分屋で神器にも逃げられ、人の願いもろくにきかないが、此岸と彼岸の狭間に存在する有象無象を斬る能力 があった。八百万（やおろず）の神の中でも末端も末端の夜トは、自分のお社を持つために、今日も賽銭5円で人助けをする――！！
社を持たない主人公の“野良神” 夜トや主人公を取り巻く神々の戦いを描いた和風バトルファンタジー。『アライブ-最終進化的少年-』の作画が好評を博したユニットあだちとかによる本作は、キャラクターの可愛さコミカルさ、またバトルシーンの爽快感をたっぷり楽しめます。
アニメ化もされており、電子版を含めた累計発行部数は630万部（2018年8月時点）を突破する人気作品です。
高校2年生の冴木まことは、江戸時代から続く冴木稲荷神社の十五代目跡取。神社の正当な跡取だけが有するといわれる神眼を持ち、人には見えない存在を見ることができる。まことには、忙しい神様の代わりに神社を守ってくれる神使の狐・銀太郎が見えていた。
まことは銀太郎の持つ不思議な力を困っている人のために役立てようとするが、銀太郎は口が悪く面倒くさがりで、事あるごとにまこととぶつかって――！？
稲荷神社の跡取り娘と神使のお狐様が贈るハートフル神社ファンタジー。人間と神様の交流と日常を描きます。銀太郎は少し先の未来が見えたり探し物を見つけられたりといった不思議な力を持ち、文句を言いながらもまことに乞われればその力を使ってくれる、見た目とは裏腹に優しい心を持つイケメン狐です。
お節介焼きで人懐っこく、ちょっぴり子どもっぽい性格のまことが、徐々に成長していく姿にも心温まり、和みます。
地球以外の天体の環境を人類が居住できるよう意図的に改変するプロセス・テラフォーミング。西暦2599年、火星のテラフォーミングが進み、その地表は苔とある生物で覆われていた。
この生物と戦うため、特殊な手術を受けた15人の若者たちは、有人宇宙船に乗り込み、火星へと向かう。彼らを待ち受ける謎の生物・テラフォーマーの正体とは――！？
苦手な人の多い“アレ”が人型に進化して、人類にとっての強大な敵となる大人気SF冒険・バトルファンタジー。人間側は昆虫の能力を取り込む「バグズ手術」や地球に存在するさまざまな生物の能力を移植する「M.O.手術」を宇宙船の乗組員たちに行い、変身させ、戦いを挑みます。
手術には多種多様な昆虫や動物が用いられ、取り込んだ生物の能力によって戦い方が異なり、さまざまな戦術が展開されるのが本作の魅力のひとつです。2013年版『このマンガがすごい！』オトコ編で1位を獲得。シリーズ累計発行部数は2200万部（2021年11月時点）を突破し、アニメ化、実写映画化もされています。
全寮制のチェリートン学園に通う17歳のレゴシは寡黙で繊細で不器用なオス狼。演劇部に所属し、美術部チームの一員として部活動に励んでいる。
ある日、校舎内でオスアルパカのテムが何者かによって食い殺されてしまう。学園内では肉食獣と草食獣の間に深い溝が生まれ、テムと親しかったレゴシは犯人だと疑われて――。
肉食獣と草食獣が共存する世界を舞台に描かれる青春ファンタジー。夢と希望、友情と恋、そして不安や確執の入り混じる世界で、主人公のハイイロオオカミとさまざまな種類の動物たちによる激しくセツナイ群像劇が繰り広げられます。
2018年には「第42回講談社漫画賞」少年部門、「マンガ大賞2018」大賞、「第22回手塚治虫文化賞」新生賞、「第21回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門新人賞を受賞。主要な漫画賞を総なめにし、話題をさらった作品です。
植物、昆虫、魔法鉱石、魔物の一部などの素材を調合し、アイテムを作り出すプロ・アイテム職人のエルフ・マグリットは、森の中に小さな工房を構えている。マグリットの専属狩猟士としてともにアイテム作りを行うのは心優しい人間の青年・ユラ 。
冒険者たちのためにアイテム製作に勤しむ2人には、温かく穏やかな時間が流れている。そして今日も、冒険者たちから難敵を倒すためのアイテムを頼まれて――。
年上幼女と純朴なハンターの工房暮らしを描く日常系ファンタジー。エルフと人間、種族も寿命も違う2人が、アイテム製作という同じ目的のためにそれぞれの能力をふるい、力を合わせ、そしてともに暮らす様子を描くほのぼの作品。
ダンジョンや魔物、素材、アイテム作りといった要素を楽しみながら、マグリットとユラの可愛くてくすぐったいじれ恋にきゅんきゅんできます。
1963年、ロサンゼルス郊外。おせっかいで面倒見のいい19歳のシェリー・ブライトは、父が営むダイナーでウエイトレスをしている。シェリーはある日、刑務所の前でひとりの老人に出会う。
刑務所の門番が言うには、その老人は100年の刑を終えて出所したとのこと。可哀そうに思ったシェリーは老人を家に連れて帰り、老人の伸びきった前髪を切った。するとなんとそこから青年の顔がのぞいて――！？
“100年前の男”と世話焼きの女の子が組んで配達屋となり、時に事件に巻き込まれながら街から街へと渡り歩くハードボイルド・ヒューマンドラマ。著者は『リストランテ・パラディーゾ』、『さらい屋 五葉』、『ACCA13区監察課』のオノ・ナツメ氏。個性的な筆致や独特の世界観で、時代劇やSF、BLなど多彩な作品を手掛けることでも知られています。
本作ももちろん雰囲気たっぷり。読み始めてすぐにその不思議な世界観に引き込まれていきます。シェリーはビジュアルもセリフ回しもとても可愛く魅力的で、主人公として文句なしの存在感を放っています。
過労死した秋津みどり（享年27）の前に神様が現れる。とある異世界に転生し、人類を滅ぼすべきか決めてきてほしいという。その話の重さに躊躇するが、ある能力と引き替えに転生することとなる。
みどりはスペック高い貴族の家の末娘・ネマに生まれ変わる。ネマの周りにはいつも動物たちがいた。みどりが得た能力とは、「もふもふたちに好かれる」というもので――！？
「第4回ネット小説大賞」を受賞した向日葵氏の同名ライトノベルスのコミカライズ。貴族の娘に生まれ変わった主人公が、大好きな動物たちに囲まれ、もふもふなでなでしながら人類存続の道を探る、異世界もふもふファンタジー。ほのぼのと和めます。
ドラゴンや白虎なども登場するので動物だけでなく幻獣が好きな人も楽しめる作品です。ネマの表情がとても可愛く描かれていて、天真爛漫な笑顔だけでなく困った顔などにも癒されます。
緑の森と穏やかな海に彩られた美しい国・テュール王国。大国の脅威に怯えるその小国のテナ村で、少女・フレイヤは病弱な母と2人暮らしている。心細い日々を送るフレイヤのもとに、3年前に王都に旅立ち、騎士となった幼なじみのアーロンとアレクシス兄弟が現れる。
フレイヤは2人との久しぶりの再会を喜ぶが、アーロンの命が大国に狙われていることを知る。フレイヤはアーロンの命を守るために、大国とテュールの会談が行われる城に忍び込むが、そこで自分とそっくりのテュール王子・エドヴァルドと出会って――！？
男女入れ替わり大河ファンタジー。ひとつの出会いから、主人公の少女の運命が大きく動き出す王道少女漫画です。気が弱く無力でちょっぴり泣き虫な少女が、王の身代わりとなり、さまざまな苦難を乗り越え、成長していきます。政治劇や冒険劇の部分も楽しめる作品です。
半人半獣の希少種・亜人は人間に虐げられ、支配されていた。亜人の少女・藍月は、弟の仇である第四皇子・天耀を暗殺するために、武器を持ち、男と偽り、天耀に仕える“従獣”となった。しかし、皇宮に参内した藍月を何者かが襲う。
すぐに返り討ちにするが、藍月は弟もこうして襲われたのかもしれないと悲しみに暮れる。その場に駆けつけた天耀は、藍月の憂いを帯びた表情にかつて自分に仕えた幼き従獣を思い出し、藍月の弟の名を口にする。藍月は怒りで我を忘れ、天耀に飛び掛かるが――。
本作の著者・藤間麗氏の大ヒット作『黎明のアルカナ』と同じ世界観で描かれた作品。男装の獣人少女と美しき皇子がつむぐ皇宮ファンタジーです。緻密なストーリー展開と美しい絵柄が人気の著者ですが、本作でもその魅力はもちろん健在。重厚なファンタジー少女漫画が楽しめます。
主人公の藍月はとても可愛く、天耀もかなりのイケメンです。従獣と皇子、種族も身分も異なる2人の恋模様は尊く美しい……！
自由な設定や多彩なストーリーで創造されるファンタジー漫画。これまで触れたことのないような不思議な世界観や奇抜な物語が展開されていることでしょう。ページをめくった先には、新たな感動体験が待ち受けているはずです。
