バッコス

シリーズ完結
バッコス 1 (ばっこす001) / 白土三平(作)

シリーズ作品

バッコス 1 (ばっこす001)
バッコス 1
▼第1部/誕生編▼第2部/放浪編 ●登場人物/バッコス(数奇な運命をたどる少年)、ゼウス(偶然手に入れた多くの牛をもとに権力を得た男。バッコスを奴隷のように扱っていたが、やがて…)、マーゴ(バッコスと恋仲になる少女)、キロン(雨乞いをする祈祷師。バッコスにいたぶられることを至上の喜びとする倒錯者) ●あらすじ/1800年代、アフリカ東部。旱魃(かんばつ)で全滅したある村の中に、奇跡的に生き長らえた一人の嬰児がいた。その子は、突然のスコールによってできた激流に飲み込まれ、泥の中に埋まってしまうが、通りがかった牛飼いの男によって助けられる。心優しい男は、その子を「バッコス(芽生えるものという意味)」と名付けた。だが男は、落石に遭い、死んでしまう。そこへやって来たのが、他人の妻に手を出した罰として、ある村を追放されたゼウスという男だった。彼は偶然手にした多くの牛とバッコスを連れて、元いた村に帰る。そこから事態は思いがけない方向へ…。 ●本巻の特徴/ゼウスの財産に惹かれた村の者たちは、再び彼を村に迎え入れた。ゼウスがその財力を武器に権力者になっていく一方、バッコスは誰からも人として扱われず、家畜の糞尿の中だけを安息の地として、孤独に、非人間的に成長していった。ゼウスとの愛憎、自分に優しくしてくれた動物や、少女・マーゴ、祈祷師・キロンとの出会いなどを通して、バッコスは激動の生涯を送っていく…。アフリカの大地を舞台に、権力や性に対する人間の原始的な欲望や、自然界の摂理を描く。神話伝説シリーズの中でも最長の作品で、衝撃的なシーンも数多く登場する問題作(物語は2巻へと続く)。初出は「第1部/誕生編」1976年8月〜1977年1月、「第2部/放浪編」1977年1月〜4月。 ●その他のデータ/巻末に、四方田犬彦氏によるエッセイ「孤児のカリスマ」を収録。詳しい作品の解説がなされている。
最終巻
バッコス 3 (ばっこす003)
バッコス 3
▼第3部/復活編 ●登場人物/バッコス(数奇な運命をたどる少年。民衆たちから神とあがめられるようになる)、ゼウス(オナ族の首長。権力を追い求める男)、ロン(元オナ族の勇者。のちにバッコスの戦士となる)、ヤーゴ(ハイエナ党のボスである荒くれ者)、アタナ(ヘラ族を統治する巫女)、ポト(元トロ族の勇者) ●あらすじ/凄惨な闘いを繰り広げてきたオナ族とトロ族だが、新たな敵・ヘラ族を前にし、連合して立ち向かうことになった。闘いはさらに拡大するが、巫女・アタナのもと、圧倒的な力を持つヘラ族が勝利を収め、オナとトロをはじめ、いくつもの部族を従属させる。そのころバッコスは、毒キノコを用いた酒による幻覚作用を利用して予言者となり、数多くの信女たちと異様な世界を形成していた。やがてバッコスは、ヘラ族に支配され苦しむ人々の間で神格化されていく……。 ●本巻の特徴/神話伝説シリーズの中でも最長の作品である『バッコス』の文庫版完結集。旅を続けるうち、「精霊の取りついた予言者」という存在になっていったバッコスの栄枯盛衰、多くの部族間の抗争、神への信仰、原始的な性愛、権力への欲望などを軸に、1800年代のアフリカの未開社会を描く。衝撃的なシーンも数多く登場する問題作。初出は1978年。